ヒアルロン酸・ボトックスの医学

●注入材料による美容医療

注入材料による美容医療の歴史は古く、オルガノーガン注入,脂肪注入、ジェル状シリコン注入、コラーゲン注入、ヒアルロン酸注入、ゲル状人工皮膚注入、ボトックス注入、と進化し変遷しています。現在一般的に美容医療ではヒアルロン酸とボトックス注入が主流です。ヒアルロン酸は人体にある物質で人工的に生成し、その粘張度(架橋の程度)によって使い分けます。また、ボトックス注入はシワの根本原因である表情筋に作用し、主にシワ治療として使用されています。
状態によっては脂肪注入をお勧めするケースがあります。例えば瞼のクボみや頬のコケた感じ、口の周りの深い表情シワは脂肪注入も効果が高いと考えています。

● ヒアルロン酸=シワの改善。涙袋、鼻、アゴ、唇、バスト、プチ整形

ヒアルロン酸は生体内にある物質です。それを人工的に製造し注射剤として1本ずつ滅菌されて販売されています。安全性も確立されており整形外科では昔から軟骨損傷などで膝間接や肩関節に軟骨の代わりとしての潤滑剤として使用されています。ヒアルロン酸はその粘張度や分子の大きさによって使用目的が異なります。美容目的で使用する場合、粘張度はほどほどで分子も小さめな物が多く選ばれます。表情を作らなくても出現する「刻まれてしまったシワ」に対して有効です。またプチ整形で、鼻を高くする、アゴを出してみる、涙袋を形成する、バストに注入し胸を豊かにするなどの時にも有効で、いずれ吸収されてしまうので(約半年〜1年)気軽に受けられる治療だと考えています。また、消失期限が来ても一部が皮膜で包まれるので、鼻など全く元のペチャンコにはならないのもメリットの一つです。注入技術や注入量は医師の腕によるところが9割で、特にシワに関しては難易度が高いものです。

●ボトックス

ボツリヌストキシンA型という薬を使用します。ボツリヌスというと食中毒を連想する方も多いと思いますが、毒そのものを注入するのでは無く、それを精製し筋肉を一時的に動かなくさせる成分だけを注射薬として使用します。一般診療の分野でも、顔面痙攣の患者様やペイン外来などで、硬くこわばって痛みを伴う筋肉を柔らかくする目的で最近は使用されているようです。
美容医療で注入する場合表情を作った時に出るシワの周りに注入し皮膚に「シワという老化のクセ」がついてしまうのを防ぐ役割を果たします。筋肉は使わなくなると弱く細くなるので薬の効果(約半年)が切れてもすぐに元に戻ってしまう事はありません。表情を作った時に出るシワの改善の他に、口角を上げる作用、エラ部分の輪郭を小さくし顔の幅を細く見せる作用、外人モデルの様に眉をキリッとりりしくと引き上げる作用、目を下斜方向に広げる作用(大きく開かせる)、などがあります。
しかし、前述の通り効果が半年続くのと、ボトックスを分解する薬が無い為、注射技術は高い水準のものを要求されます。
また、ボトックスは管理も冷凍または冷蔵、そして注射として作成時も激しく振動させないなどの気を使う薬です。

●コンビネーション法、ダイゼクション併用法

ボトックスとヒアルロン酸を併用してシワを根本から治療する方法です。
また、注射の針を皮膚に刺した上で針先を皮下で動かし剥離するニードルダイゼクション法を併用する事によりヒキツレた感じを改善する事ができます。特に、深いシワやゴルゴ線に対するヒアルロン酸注入は難易度が高く注入する層、ニードルダイゼクションの程度によって仕上がりが全く違ってきます。 ※ニードルダイゼクション法=注射針皮下剥離法

●弊害

ヒアルロン酸は適切な層に高い技術を持って入れないと、シワで無い所が盛り上がったり、シワが盛り上がり過ぎ逆に強調されてしまったり、鼻やアゴの場合は均等に注入されておらず変形して見えたりすることがあります、注射するだけの事ですが実は割と難しのです。
ボトックスのは分解する薬が無いので時間が経たなければ効果が消えません。眉間や額のボトックス注射後で「眉の高さが左右違う、瞼が下垂し目つきが悪くなった」場合効果が切れるまで待つしかないのです。
応急処置として本来は神経終末から分泌されるアセチルコリンを注射すると一時的にはある程度改善します。これを複数回打ってボトックスの効果が切れるのを待つしかないのが現状です。
また、「すぐに効果が切れてしまった」という方もいます。きちんとした方法で行っていれば最低3か月〜半年は持つはずです。作り置きや薬をかなり薄めるクリニックも残念ながら存在します。
ボトックスやヒアルロン酸に関しては「安かろう(早かろう)、悪かろう」が通用してしまうと思った方が良いと考えています。また、不要に静脈麻酔をかけると、ご本人は覚えていなくても注射中にかなり暴れて動くのでどんなにベテランな医師でも適切な部位に注入不可能というのが現実です。